社会信用システム(ソーシャルスコア)をご存知でしょうか?
社会信用システムとは、世界中で採用が検討、あるいはすでに実装されているシステムで、
1人1人に点数をつけて、その点数により特典や罰則を付けるというものです。
点数の高い人には税制の優遇があったり、社会福祉を受けられたりしますし
逆に点数の低い人は公共機関の使用の制限や監視が付いたりするそうです。
当ブログでも、過去に社会信用システムを取り上げたことがあります
⇒アーカイブ「社会信用システムとは」
こちらは中国での運用についてのものですが、
インドでもこのシステムは既に使われています。
今回は、世界中で進む社会信用システムのインド版を見てみようと思います。
社会信用システムで世界は管理されていく どちらが幸せか、あなた自身が選ぶとき
現在、世界人口は約80億人と言われています(UNFPAの世界人口白書による)。
うち、インドの人口は世界第2位の約14億人です。
1位の中国が約14億5000万人とされており、2019年の国連の発表では5年後くらいにはインドが中国を抜いて世界第1位の人口になるのではないか、と見られています。
そんな世界人口1位・2位の国で積極的に行われている政策が「社会信用システム」です。
中国のことに関してはアーカイブ「社会信用システムとは」をご覧いただくとして、
インドで行われている社会信用システム、通称「AADHAAR(以下アドハー)」を見ていきたいと思います。
実はインドではアドハーは2009年から手掛けられています(翌年に開始)。
2022年現在、既に人口の99%程が登録をしているといい、アドハーカード(身分証明書カード)を受け取っています。
インドには固有識別番号庁(UIDAI)というこのシステムの専門の省庁が出来ており、
12桁のIDナンバーや顔認証、指紋、両目の虹彩などを情報として登録し、一元的に管理しています。
アドハーの登録は義務ではありませんが、各種支払いや手続きなどアドハーを介して行うものが年々増えていっており、事実上はアドハーを登録せざるを得ないような状況になってきているようです。
インド国民以外でも登録が可能で、現状でも1000万人近くの登録者がいるという。
これにより、インド国内でのスマホの普及率は飛躍的に高まり、また銀行口座の開設も大幅に増えている。一部の既得権益者が大儲けしたのは事実だろうが、便利であることもまた現実だ。
アドハーの広まりにつれ、行政への申請も簡単になり、各所での本人確認、手続きの簡略化、支払いの迅速化、またそれまでは行政活動で蔓延っていた賄賂などの不正も減ったという。
ペーパーレス化にも貢献しており、シェアリングサービスなどが拡大し、企業としても新しい事業が出来ているという(もちろん、なくなった仕事もあるだろうが)。
この流れは世界中に広がっていく
しかし、物事は一方向からだけ見ていたのでは本当の姿はなかなか見えません。
このシステムは、個人情報を政府や巨大企業が一括して管理することになります。
個人個人の生体認証を始めとして、
✅貯金額(資産)
✅負債額(ローン額)
✅家族構成
✅職業・職歴
✅学歴
✅賞罰歴(逮捕歴)
✅商品の購入歴
✅場合によっては行動もチェックできる etc・・・・・
こういった情報は常に確認されます。
もちろん、一般には個人情報だからという理由で目に触れることはないでしょう。
しかし、実際はこれらの情報を元に各人に点数(社会信用スコア)をつけられ、それにより1人1人違う扱いを受けることになる可能性があります。
これが進めば、もしかしたら犯罪者も減るかもしれません。
スコアを失えば日常に不便が出ることが見て取れるからです。
ただ、一度スコアを失った人は、不利な環境となり、より犯罪に走るということも考えられます。
そのように考えてみると、
これは既得権益者たちにとっては、とても便利なシステムかも知れません。
まず、自分たちが点数を付ける側になれば、こんなに楽な事はありません。
まずどんな不正をしようが、自分たちの点数が減ることは(減らすことは)ありません。
元々資産家の家系なので、点数も初めから高いです。
また、目に余る人間や、気にくわない人間には一見正当に見える手段で制裁を与えることが出来ます。出る杭を打つことも簡単になるでしょう。
様々な情報を一元管理するので、犯罪の抑止のみならず、不穏な動きを事前に潰すことも出来るようになります。
ようするに、より強固なヒエラルキーが生まれるという事です。
ご存知の通り、インドではカースト制度というヒエラルキーがあります。
法的にはカースト制度は否定され徐々に若者の間ではその意識も薄れてきていると言います。
しかし、未だに根強くカーストの思想が残っているのも事実であり、
インドはもしかしたらヒエラルキーを受け入れやすい土壌があったのかもしれません。
日本ではどうなる?
実はこのアドハーのようなシステムは、
世界銀行ID4Dプロジェクトとも呼ばれ、ビル・ゲイツと世界銀行が提携し、社会信用システムを世界中に広めようとしていることも解っている。
もちろん、日本でも推進されています。
その尖兵がマイナンバーシステムでしょう。
これにより、アドハーと同じようにまずは国民に番号を付けようという訳です。
しかし、周知のとおり日本ではマイナンバーの普及は進んでいません。
未だに
普及率は20%に満たないと言います。
そのため、政府もマイナポイントをあげます!
などと僅かなポイントで国民を釣り上げようとしていますね。
しかし、政府(及び世界的企業群)が目指すスーパーシティ(ムーンショット計画)にはなくてはならないのがこのシステムでもあります。
今後、インドのように登録せずは人に非ず・・・・
といった形にしていくかもしれません。
※ちなみにインドではアドハーに登録をしなかったために配給が行かず、餓死してしまったというような例もあるそうです。こうなると事実上の強制に近いモノがありますね。
ただ、ここで考えてほしいのは、管理されるのは悪いことばかりではない、ということです。
確かに管理されると聞けば耳障りは悪いですが、
実際は安全な都市で、職業も思想もやることも与えられ、面倒なことは考えずに生きていくことが出来るようになるという事です。
確かに特権階級のような生活は出来ませんが、大過なく過ごすことは出来るようになるかもしれません。しかも、苦労なくして。
こういった生活・人生が良いか悪いかは、各自で判断するしかありません。
何にでも良い面・悪い面があるのですから、それぞれの価値観や考えのもとで決めていけば良いのです。
日本でマイナンバーが普及しないのも、日本人の心底では、社会信用システムという徹底管理に対する抵抗をしているのではないか・・・
そんな風に私個人は感じたりもしています。
アドハーで使われている生体認証システムは日本の企業であるNECの技術が使われているそうです(若干問題が発覚していますが!)
そう言った面からも日本にも普及していく可能性がとてもとても高いでしょう。
人類の大きな分岐点に差し掛かっている・・・大げさかもしれませんが、そんな風に思っています。