現代に”差別”はあるでしょうか?
被差別部落はいまだにあるのかもしれません(これは同和や左翼による面が極めて大きい)。
しかし、今の若い人で被差別部落を意識している人は、少なくとも日本人にはほとんどいないと思います。
これは分かりやすい差別ですが、
例えば学校や職場などでのイジメなんかもある意味、差別と言えるでしょう。
「人間は集団を作れば、差別は自然に発生する(自然淘汰)」という意見もありますが、さすがにそれは動物的な感覚でしかないでしょう。
人は話をすることもできるし、相手の気持ちを慮ることもできます。
いじめなどない集団だってありますし、子供の集まりなど決して差別などしません。
※ちなみにイジメの加害児童の家庭は機能不全家庭であることが多いそうです
実は、差別に関しては歴史を調べると解ってくることがります。
差別とは、権力者が自らの地位を維持・保守するために、故意に行っているものである、ということです。
今回はその差別の象徴である、世襲を中心に見ていこうと思います。
「差別」、そして「世襲」として真っ先に思い浮かぶのがカースト制度です。
カースト制度についてはご存じの方も多いでしょうから簡単に説明すると、インドで現存する身分制度のことです。
上の身分から、バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラの4つがあり、これは完全世襲制で、生まれによって階級も職業も決まってしまいます。さらにこの身分制度に属さない最下層の存在としてスケジュールド・カースト(不可触民)もあります。不可触民とは、触れることすら汚らわしい、という意味ですからものすごい差別です。
このカースト制度はバラモン教の輪廻転生の概念がもとになっています。
シュードラ以下の人たちが身分で苦しむのは、前世で悪行を犯してしまい穢れたことが原因で、それを浄化するために今世(現生)で苦しんでいるというのです。今世で苦しみ、見事に浄化できれば、次に生まれ変わるときは高い身分として生まれるというのだそうです。
カースト制度は宗教観念なので、個々人の宗教思想を否定することはできませんが、
これをまったく信じてしまうと、少なくとも今世では絶対に身分が変わることはありません。
バラモンはバラモンのまま、シュードラはシュードラのまま。
このカースト制度の重要なところは、シュードラが自ら進んで反乱役名を起こすことが絶対にない、という点です。
この与えられた宗教観を信じてしまっているために、
場合によっては誰かが手を差し伸べても「次に高い身分に生まれ変わるのだから邪魔をするな」と断ってしまうくらいです。
宗教というオブラートに包んでみれば、そういう考えなんだ・・・ですが、
行為だけを見てみればただの洗脳された人でしかありません。(言葉がきつくて申し訳ない)
そして、この手法は、インド以外でも普通に行われているのです。
もちろん、日本でも。
この現代のカースト制度、差別の最たるものが「世襲」でしょう。
企業でも普通に行われていますが、一番目立つのは世襲議員です。
冒頭、世襲は権力者が自らの地位を守るために行っている、と書きましたが、日本は世襲に非常に甘い国と言えます。
「一子相伝」、「***の遺伝子」、「***の御曹司」、などという言葉は一度は聞いたことがあるでしょう。
そしてそういった言葉に対して、なんとなく疑問を持つ人もいるでしょうが、多くの人はこの言葉に弱く、よく考えずに納得してしまうのです。
実際、世襲銀は数多くいますし、その権力は非常に大きなものです。
現在(2023年)の総理大臣である岸田文雄氏は3代目の世襲議員ですし、前総理の故・安倍晋三氏も3世議員。
岸田氏と総理を争った河野太郎氏、野田聖子氏も3代目の世襲議員です。
近年で世襲でない総理(だった人)は菅義偉氏くらいですが、菅氏が総理時の閣僚20名中、6割の12名が世襲議員でした。
ちなみに菅氏は以前、世襲議員に対して批判的な言動をとっていました。
「世襲は自民党を弱体化させる、今すぐやめるべきだ」、「世襲を認めれば特定の団体や個人を大事にする党だと認識される」と語っていたほどです。
しかし蓋を開けてみれば閣僚の半数以上が世襲議員です。
菅氏の考えが変わったのか、世襲議員の力が強いのか解りませんが、
日本がいかに世襲議員によって”支配”されているのかが見て取れる事実と言えるでしょう。
※日本のカースト制度のそもそもの原因は明治維新にあるのですが、それはまたいずれ記事にしようと思います
ちなみに日本の衆議院における世襲議員の比率は25%ほど。
他の先進国ではだいたいが10%未満であり、世襲のイメージのあるアメリカでも7%前後、ドイツでは2%未満です。
また閣僚・大臣クラスになれば日本の世襲議員率は跳ね上がります。
このように数字からも日本が世襲天国であることが解るでしょう。
「世襲でも能力があり、優秀なら問題はない」
という意見もありますが、
今の日本の状況を見て、優秀な人が政治を行っている、と言える人はどのくらいいるでしょう?
世襲議員で知名度も高い、元総理の息子の小泉〇次郎さんをみて、優秀だと言える人は何人いるでしょうか?
世襲ではない優秀な人を選ぶ方が、間違いなく政治に向いた有能な人が集まるのではないでしょうか?
世襲とは、権力や既得権益を維持するためのものであること
日本が世襲議員大国であること
これらのことは分かりましたが、
世襲=悪いもの、
と単純に考えても良いのでしょうか?
もちろん、一概にそうとは言えないでしょうが、
世襲により能力がない帆とが跡を継いでしまったりすること、
権力が一極集中してしまうこと、
利権に群がる守銭奴が集まる、
などということは普通に起こっています。
なので総合的にみて、世襲は社会的マイナスが大きい可能性が高い、と言えるでしょう。
それでも世襲されていくのは、それだけ儲かるから
別に議員だけではありません。
医者も2世が非常に多いのです。
これは単純に儲かるからです。
歌舞伎や能などの伝統芸能も世襲です。
あまり知られていませんが、これらも非常に儲かるのです。
一般企業だって、子孫が跡を継ぐのはあまり前の様になっている会社が多いですが、
会社のことを考えれば、優秀な人、社長に向く人を据えた方が良いに決まっています。
しかし、中小企業ではそういった会社は少ないようです。
以前、鳩山元首相は記者団との会話の中で
「今の平均年収ってどのくらい?1000万円くらい?」
などと聞いていました。
麻生太郎元首相も、選挙運動中に有権者を前にして
「下々の人たち」・・・
と声をかけていたのは有名です。
こういった世襲議員の行動を見る限り、
私たちがどう思おうと、
彼らは庶民と違う感覚を持っているのは間違いがなく、かつ、現代日本のカースト制度を自負しているということです。
自分たちの権力や地位に金が流れ込んでくること、
庶民からは搾取していることを知っているのは確実です。
平等ではないことを知っているのです。
私たちがこのカースト制度を受け入れるかどうか
それは個人個人の思想に委ねられます。
やはり血縁は偉大だ、遺伝子が重要だ、と考える人はそれもアリでしょう。
それでも一生懸命生きるのが重要なんだ、という考えも立派だと思います。
自分には関係ないな・・・というのも1つの意見です。
しかし、私はやはり世襲は既得権益の確保のためであると見えてしまいます。
それが社会貢献になるとは考えられません。
世襲の人が、そうでない人よりも向いている可能性は極めて低いと思われます。
実際、スポーツの世界では2世がほとんど活躍できていないのは良い実証だと思います。
世襲というものをどうとらえるか
それは普段の消費活動や選挙での投票という形で表す機会もあります。
ぜひ、考えるきっかけにしてみてください。