シンギュラリティとは、AIが人間の能力を超えてしまう事をいう。
一般にはそれは2050年頃と言われていますが、現実にはそれはもう足元まで来ています。
もし、シンギュラリティが起きてしまえば、ほとんどの仕事はAIが行うことになります。それは楽園なのか、ディストピアなのか・・・?
そしてマイクロチップを埋め込まれた人間は、ロボットと化してしまうのか?
今回は現実の実験を基に、人間とロボットをみてみます。
ロボラット、というものをご存知だろうか?
まだ実用化されているわけではないので、聞いたことのある人は少ないかもしれない。
ある人の言い方を借りると、「哲学が実地に試されている」ものがロボラットだ。
簡単に言うと、ラットをロボットのように操る実験だ。
ラットの脳の感覚野と報酬領域に電極を埋め込むのだ。そうしてリモコンで指示(刺激)を送ることで、ラットが普段なら嫌がるような事でも、報酬中枢を刺激され「極楽の気分を味わう」ことで、どんどん行動してしまうようになる、というものだ。
どんな危険なことでも、どんな汚い場所にも、「極楽の気分を味わう」ためにラットは進んで向かっていく。
もちろん、動物愛護の観点などからこれを非難する声もある。
しかし、この実験を行っているニューヨーク州立大学のサンジヴ・タルワー教授はその声に対してこう反論する。
「虐待などではない。なぜなら彼らは望んでそれをやっているのだから。彼らは自由意志のもと、幸福を感じて行動をしているのだ」
このロボラットが実用化の段階になれば、人が入るのが困難な場所での救助作業や探索などができるようになるという。
このロボラットの実験は”もちろん”人間への応用も考えられている。
実はアメリカ軍は、人間の脳にコンピューターチップを埋め込む実験を既に行っている。
当然だが、表向きはロボットソルジャーの製造などではなく、心的外傷ストレス障害に苦しむ兵士を救おうというものだ。
人の脳に電極を埋め込み、胸に埋め込んだ極小のコンピューターと繋ぎ、脳の特定の領域を麻痺あるいは刺激する。
これは「人間有効性局」と呼ばれ、オハイオ州の空軍基地にある組織が行っていることだ。
うつ病の兵士には実際に効果があったという結果も出ているらしい。
さらに、ドローン操縦士や航空管制官、あるいは狙撃兵など長時間にわたって高度な注意力を必要とする任務に就く者の認知能力高め、効率を大幅に上げることも可能であるという。
とはいえ、人間の脳にチップを埋め込むなど、ラットと同様、倫理的な問題が立ちはだかる。
そこで考え出されたのが「経頭蓋直流刺激装置」である。
わかりやすく言うと、いくつもの電極が付けられたヘルメットである。
ヘルメットは微弱な電磁場を生じさせ、それを特定の脳領域に導き、そうしてお目当ての脳の活動を盛んにしたり抑制したりするのだ。
蛇足になるが、すでにこれに類似したものは販売されている(Amazonなどでも買える)。もちろん、脳に特定の刺激を与えることを目的としたものではないが・・・
ある女性記者が、狙撃兵訓練施設でこの「経頭蓋直流刺激装置」というヘルメットを使用させてもらっている。
彼女は普通の記者であり、ライフルに関してはまったくの素人だ。比較をするために、何も付けずにライフルによる狙撃シミュレーターを行った。もちろん、彼女の成績は散々なものだった。
そのあと、例のヘルメットを被らせてもらい、再度シミュレーターに挑戦した。
全くの素人あった彼女の2度目の挑戦結果は、パーフェクトの成績を残すことになった。
彼女はそのヘルメットでの体験を次のように語っている。
「・・・生まれて初めて、頭の中の何もかもが口をつぐんだようでした。この経験の後の数週間というもの、いちばんやりたくてしかたなかったのは、”もう一度ヘルメットを被ること”だったと言ったら、共感してもらえるものでしょうか・・・?さらに私は多くの疑問も抱くようになりました。私の心の中には怒りや敵意があり、それらが私を脅したり怖がらせて、やりもしないうちから諦めさせたり否定させたりしてきた。だとすればそれは一体何者だというのでしょう?そして私は何者なのでしょう?あの声は、どこから聞こえて来るというのでしょう・・・?」
このような装置は、BMI(ブレインマシーンインターフェース)ともいわれ、手術などの医療にも使われるようになると言われている。
これがあれば、確かに人の能力は大幅に向上する可能性がある。
作業は非常に成功にできるようになり、手術の成功率も大幅に上がるかもしれない。
計算の速度も上がり、筋力もアップさせられるのかもしれない。
人は外部から気を散らされたりせずに、自分の真の欲望に気づくことが出来るようになったり、自分の感情を抑制し、望んだものを手に入れられるようになるかもしれない。
しかし、これには全て「ただし」が付随する。
つまりこういうことだ。
ただし、この格差社会の中で、自分がリモコンのボタンを押す権利を得ることが出来たならば、である。
もう少し書けば、人間のロボット化はマイクロチップだけではありません。
義足や義手、あるいは人工臓器など、身体全体にそれは及んでいます。
当然、良い面も多々あります。
が、それと同時に、我々人間の倫理観や自我の成長も必要になってくるのではないでしょうか?
いずれ、マイクロチップの埋め込みや、人口の身体により、従来の人間を超えた能力を持つ人が出てくることが想像されます。
その時、人は”それだけで”神に近づくのでしょうか?
成長したと言えるのでしょうか?
偉大な神秘家で思想家であるG・I・グルジェフは「人間は機械である」と語っています。
人間は自己(性格)は1つだけではなく、複数のものを持っており、状況の応じてその自己が機械的に反応しているだけにすぎないといいます。
人は自分が機械的な反応をしてしまっていることを認識することによって、それを修復し、本当の自分を目覚めさせることができる、と語っています。
これは非常によく解る話です。
しかし、人工的な他人の力によって目覚める力は、人類に一体何をもたらすのでしょう?
人類の進化か
あるいは、人間牧場か・・・
マイクロチップの埋め込みなどは、決して遠い未来の話ではありません。
実際、日本でも全国各地でその説明会が行われたりしています。
流行する感染症の影に隠れて進められているスーパーシティ計画(日本ではムーンショット計画)には、人類ロボット化が含まれていると考えることも十分できます。
そしてマイクロチップが埋め込まれ、人間を超えた能力を得た時、人は・・・
自分が機械であると認識することは2度と出来なくなるかもしれません
あなたは、どちらの”機械”を望みますか?
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