以前、【古典・名作のオススメ本】という記事において、様々な本を紹介しました。
今回はその第2弾。
コロナ騒動において、家で過ごすためのもの(ゲームとか)の売り上げは上がっていますが、だからこそ勉強をして力を蓄える絶好の機会でもあります。楽しみながら知識を増やし、実力を付けるのに読書は最適。
心の力を付け、人生の質を圧倒的に高める”自己啓発”の本を紹介します。
一般的に自己啓発本というと、自己啓発とは名ばかりの”金儲け”のための本ばかり。
今回紹介するのは、それとは一線を画す、一味違うものばかりです。
目次
ホモ・デウス ユヴァル・ノア・ハラリ
どんな人にも歴史と未来があるように、人類にも過去と現在そして未来があります。この作品は、人類の足跡を基に、未来を分析・考察した本です。
人類は、これまで最大の敵であった飢饉・疫病・戦争をほとんど乗り越えた。我々は今後は、不老不死や永遠の幸福、そして神性を目指し、ホモサピエンスがグレードアップしたホモデウスになっていく・・・
※デウスは全能の神ゼウスから来ている
しかし、不老不死や幸福は 全人類が享受できるものだろうか?
格差が拡大し続ける現代、想像を絶するような格差が生まれてしまうかもしれない。だがそもそも、ヒエラルキーというもの自体が”共同主観”という名の幻想ではないか?
大量の情報を見事にまとめ上げた本作は、情報の使い方や物事の捉え方が読むだけで身につくほど素晴らしい。しかも、今後社会がどのように変化していくのかも大きな概念として掴めてしまう。そんな内容になっています。
「私たちは21世紀にはこれまでのどんな時代にも見られなかったほど強力な虚構と全体主義的な宗教を生み出すだろう。そうした宗教はバイオテクノロジーとコンピューターアルゴリズムの助けを借り、私たちの生活を絶え間なく支配する」
ホモデウスは、予言の書でもあるのだ。
ツァラトゥストラ F・ニーチェ
「神は死んだ」でお馴染みのニーチェ。同本の題名、ツァラトゥストラとはゾロアスター教の教祖の名前なのだからスタートからして面白い。とはいえ、ニーチェの著作は基本的に難解。同作も簡単とはとても言えませんが、それでも、このツァラトゥストラは物語形式になっていて比較的読みやすくなっています。
そしてそこから読み解けるものはニーチェからの我々への応援歌にも聞こえます。
「私は愛する。おのれ自信を超えて創造しようとし、そのために滅びる者を!」
どうでしょう?挑戦する力が湧いてくるような気がしてきます。
人類最高の哲学者の1人であるニーチェの、自分を乗り越えようとする者への励ましの書を、ぜひ手に取ってみましょう
勇気ある言葉 遠藤周作
この本は新聞連載をまとめたエッセイ本です。従って、書かれている内容は当然、当時のものですし、新聞に載るくらいなので時事ネタも豊富に盛り込まれています。
そんなもの役に立つのか?面白いのか?とお思いになるでしょうが、心配ご無用。
確かに話のネタ自体は時代を感じさせますが、それでも作者の思いやユーモアは色褪せることがありません。人間の普遍的な心や社会問題が書かれているので、今読んだって新鮮に読めます。
1つの話題が(新聞連載だったため)3~4Pくらいで終わっていることと、たっぷりのユーモアで読みやすさは今回紹介する本の中でも随一。そしてその中で時折みられる切れ味満点の言葉だからこそ、胸に突き刺さります。
「錦の御旗は人間を多くの場合、独善的にする。もしくは偽善的にする。我々は時として錦の御旗によりかかった自分の甘ったれた心理に痛撃を加えねばならぬ。」
日本人は特に周りと同じであることを良しとしたり、強要されたりします(それをパノプティコンと言います)。
しかし、それは”自分では考えたくない、判断したくない”という甘えかもしれません。
この本は自分を見直し、勇気を与えてくれる一冊になることでしょう
アルケミスト パウロ・コエーリョ
世界的ベストセラーである、夢と勇気の物語。羊飼いの少年サンチャゴが夢を追い、旅に出るのですが、各地で様々な人や出来事に出会います。特に多くの教えを授けてくれる錬金術師(アルケミスト)の言葉は、深い深い意味が込められています。
「もしおまえが見つけたものが純粋なものから成っていれば、それは決して朽ちることはない(中略)もしおまえが見つけたものが、星の爆発のように一瞬の光にすぎなければ、おまえは戻ったとしても何も見つけることはできないだろう」
私たちは感情で判断をしてしまうと言います。
しかし、感情だけで物事を選択してしまうと、後に残らなことも多いのです。
自分にとって本当に必要なものは何なのでしょう?それは身近には決してないものなのでしょうか?
答えは自分自身の中にある・・・アルケミストの言葉を読んで、本当の自分をしることこそ、本物の自己啓発と言えるでしょう
ソクラテスの弁明 プラトン
古典中の古典ともいえる本。約2500年前のことが描かれているのですが、フィクション(作り話)という訳でもありません。ソフィストという弁舌家(当時あった職業で相手を論破するのが仕事)を、公衆の面前で完璧にやり込めてしまうソクラテス。
そのせいでソフィストたちの恨みを買い、告訴され、裁判にかけられてしまうのです。
このソクラテスの弁明は、その裁判の様子を弟子のプラトンが後年、書き記したもの。もちろん、プラトンの創作の部分もあるでしょうが、それを踏まえてもソクラテスが真理と正義をとても大事にしていたことが伺えます。
何せソクラテスは陪審員の同情や憐れみを一切引こうとしないのですから。
現代でも、正論は時に疎まれ、嫌われます。”空気”を読んで正論を曲げる場面も多々あるでしょう。そんな時、この2500年前に存在した偉大なる哲学者の言葉は、きっと心に新たなエネルギーを吹き込んでくれるでしょう。
ロウソクの科学 ファラデー
子どもたちをとても大切にした著者のファラデーは、毎年クリスマスになると、多くの実験をしながらやさしい科学の講義をたくさんの老若男女にしていました。
この本は王立研究所で行われたその講演をまとめたもの。
誰にも興味を持ち、楽しめるように”ロウソク”というありふれたものを題材にしています。
この講義は100年以上前に行われたものですが、現代人だって、
「なぜロウソクの炎は明るく輝くのか」
「なぜ炎は上を向くのか」
「なぜロウソクには芯が必要なのか」
これらに答えられる人は少ないでしょう。
こういった疑問を分かりやすく説明しながら、”動物の生命活動とロウソクの燃焼は本質的に同じである”という本質的な所にまで辿りつきます。
本質を見つめるのは、自己成長の根幹です。
それが子どもたちにも解るように説明してくれているので、文系の人でもとても面白い。講義から、人に分かりやすく話す方法も解り、一石二鳥です
記憶喪失になったぼくが見た世界 坪倉優介
18歳の元気な普通の青年が、ある日交通事故にあってしまう。相手はトラック。意識不明の重体。10日間、集中治療室に入り生死の境をさまよう。奇跡的に意識を取り戻したが、重度の記憶喪失になってしまっていた・・・
まるでドラマや小説でみるような設定ですが、これは実際に起こったこと。作者の坪倉さんが実体験したことです。
これが現実なのか!?と衝撃を受けます。
言葉はかろうじて喋れるのですが、「ごはん」が何かすら忘れてしまいます。
「そうなのか。あのぴかぴか光るもののことを【ごはん】というんだ」
しかし、彼は記憶喪失ながらも、絵を描くことは忘れていませんでした。大阪芸大に通っていた彼は、その感性までは失っていなかったのです。
彼が18年間育てた感性のもと、再び彼は新たにこの世界に出会うのです・・・
大人が忘れてしまった大切なものを、大人の完成で私たちに教えてくれるこの1冊。
子どものような純粋な気持ちで、物事を見つめられるようになるでしょう
わたしの生涯 ヘレン・ケラー
この本は一言でいってしまえばヘレン・ケラーの自伝です。
ヘレン・ケラーはご存知の方も多いでしょう。彼女は幼いころの病気で目も耳も不自由になってしまいます。しかし、サリバン先生という師に出会い、多くの困難を乗り越え、たくさんの人を助け、世界中に人に自らの学んだことを伝えました。
不自由でありながらも素晴らしい感性を持ち続け、多くの気づきを教えてくれたのです。
本文中では特に、彼女が抽象的観念について意識的な認識をはじめて持った瞬間は、読んでいるこちらも震えてくるほどです。
ヘレン・ケラーは全世界で講演も行っており、日本にも2度来ているそうです。
そんなヘレン・ケラーが尊敬していた人というのが、日本の国学者・塙保己一という人物。この方も全盲でありながら「群書類従」という本を編纂した偉人です。
こういった人たちが活躍したという事実が、人間の可能性の大きさを感じさせてくれて、さらに勇気も貰えるような気がします。
ヘレン・ケラーの人生は、”出来ないことはない”ということを教えてくれる、勇気の書です
論語 孔子
孔子は今から約2500年前に中国(春秋時代)に活躍した人物で、論語は孔子の死後、弟子たちが師の言葉をまとめたものになります。
非常に有名ですが、意外と読んだことのある人は少ないもの。だからこそ、「聞いたことのある人」と「読んだことのある人」の差は大きくなるのです。
「朝に道を聞かば夕に死すとも可なり」
(朝、人生の正しい生き方を知ることが出来れば、夜に死んでしまっても構わない)
「其れ恕乎。己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ」
(思いやりを持つことだ。自分が嫌だと感じることは、人にしてはいけない)
孔子という人は、特別難しい言葉を使いません。
だからこそ、解りやすく、私たちの心に響いてきます。
確かに現代人にはとっつきにくいところもありますが、読めばなぜ孔子という人物が、これほどまで弟子に慕われたのか、よく解ると思います。
生き方と共に、人間関係についても学べる素晴らしい一冊です。
論語の本は多々出ていますが、齋藤孝さんのものが分かりやすくまとまっているようです。
病床六尺 正岡子規
2019年からのコロナウイルス騒動で、自粛を余儀なくされた人、店、会社はたくさんあります。
しかし、この病床六尺の作者・正岡子規は、結核という病に侵され、ほぼ寝たきりになり、外出など出来なくなってしまいます。
「病床六尺、これが我世界である。しかもこの六尺の病床が余には広すぎるのである」
実に真に迫った、胸が締め付けられるような文章です。
しかし、そんな中でも、正岡子規は志を失わず、作品を作り続けます。この本は、病と共に生きながら死を見据える、作家としての、人間としての魂を感じずにはいられません。
「悟りいふ事は如何なる場合にも平気で死ねる事かと思って居たのは間違いで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった」
34歳という若さでこの世を去った正岡子規。
彼の生きざまと言葉は、もっと自分の人生を生きよう、そう力強く思わせてくれるのです。
おわりに
自己啓発の本という形で紹介しましたが、人生に勇気や力をくれる本、といってもいいかもしれません。
前向きに努力することはとても素晴らしいことです。
しかし、それだけでは疲れてしまうのもまた事実。
いくらマインドセットを変えようとしても、自分の芯が無ければ、心向きが変わることはあり得ないのです。
結果を得たい気持ちは凄くよく解ります。
しかし、急がば回れ。
まずは自分をしっかり強くすることが本当の近道なのではないでしょうか?
今回紹介したのは、それをお手伝いできる本ばかりです。
興味を持ったものがあったら、ぜひ読んでみてください
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