長引く不況に加え、世界的な感染症の流行、資本主義も限界に来ているとも言われ、今後、より大きな不景気になる可能性も低くはありません。そうなると最悪の場合、治安の悪化、犯罪の増加もあるかもしれません。その中で詐欺や悪徳商法の被害が増してくることも懸念されます。非常に巧妙化する悪質商法から身を守るための最善の方法は、「知ること」と「欲に振り回されない」こと。
今回はその「知る」ことに注視していきます。
※今回の内容は知ることで悪用することもできますが、良心の元、行わないようお願いいたします
目次
悪質商法の手口と対処法 悪徳商売に気を付けろ!
全国の消費生活センターや国民生活センターの相談窓口には年間100万件以上の相談が寄せられていると言います。それほど”問題ある販売”が日常的に行われているのです。もちろん、100万件の全てが販売者側のせいではないでしょうが・・・
この相談内容の手口をみてみます。
1位 家への訪問販売
2位 電話勧誘
3位 次々販売
4位 販売目的隠匿
5位 かたり商法(身分詐称)
6位 催眠商法
7位 点検商法
8位 利殖商法
9位 無料商法
10位 二次被害
こういった詐欺(詐欺まがい)的商売では、何もお金持ちばかりが狙われるわけではないようです。お金を持っている人には「もっと増やせます」、「資産を安全に守ります」、「あなただからこの投資話を持ってきた」などと欲望を煽り立てます。お金持ちでない人には「孤独」・「健康」・「将来へのお金の不安」などをネタにつけ込んできます。
どちらも欲や不安といった本能を刺激してくるのです。
そしてそういった詐欺師は見た目は折り目正しい「良い人」を演出してやってきます。
見た目の良い人は良い人・・・という人間の心理(固定概念)を利用しています。
悪魔は見た目が美しいのです
悪徳商法 実例 こんな危険がある
実例① 身分詐称・点検商法
「水道の一斉案内で回っております」
玄関で声がしたので水道局の人だと思い戸を開けた。すると作業服の人が「すぐ終わりますから水道を見せてください」と言いながら台所に入ってきた。蛇口を見て「フィルターが付いていませんね」、「雑菌が残るし野菜の栄養もドンドン失われていく」などと言うので検査してもらうことにした。
すると別の男性が浄水器を持ってきて、そこで初めてセールスマンであることが分かった。
主人と相談してからにすると断ったが「安く購入できるのは今日まで」「あとでクーリングオフも出来る」などと執拗に粘り、2時間以上も帰らなかったのでクレジット申込書に判を押さずに記入した。
その後夫に断りの電話を入れてもらったが、後日返してもらった申込書には勝手に印鑑が押してあった。
実例② 身分詐称・詐欺
役所を名乗る男から「年金制度が変わったため、還付できるお金があるのでキャッシュカードの番号を教えてほしい」という電話があった。今、手元にないと答えたところ、5分後に再び電話があり「還付金は8万円ある。銀行に行ってくように」と言われ、銀行のATMでお金を引き出す方法を具体的に教えるので、と携帯電話の番号を教えるように言われて教えてしまった。
実例③ 販売目的隠匿・軟禁・マルチ
久しぶりの友人に「ご飯を一緒に食べよう」と誘われ、近所のファミレスで会った。しばらく近況報告などをしたあと、友人が副業をしているというので内容を尋ねると「今から来る人に聞いて」と言う。断ると悪いと思い話だけ聞くことにした。
9時ごろにその人が到着し聞いたその話の内容は、健康食品や日用雑貨、化粧品などを取り扱い「この会社に1人紹介すると、約7万円が貰えます」、「ランクが上がると下の人が紹介した時に同じ額が手に入る」、「いずれ何もしなくても収入が出来てくる」などと言ってきた。
さらに「私は安い給料でデパートで働いでいたが、この会社・副業に出会い、今は高級車を買えるようになった。服や食事も値段を気にし亡くなった」とか、「普通の人でも月に数百万も稼げるようになった」、「儲かるってどう書くか知ってる?信じる者って書くんだよ。この会社を信じれば必ず儲かるよ」、「起きた時が朝になるんだ。」などと執拗に勧誘された。
断っても話してくれず、次回会う約束をしてようやく帰ることが出来た。終わった時は日が変わっていた。
実例④ 利殖商法・違法行為
電話で「未上場の株があり、上場したら凄い利益がある」と言われ契約してしまった。しかし、実際に上場したら勧誘時の価格よりはるかに低い。
電話では儲かることばかり話をしておりリスクの説明は受けていない。株の価格は変動があることは知っていたが説明と全然違う。差額を返金してもらえないかと業者に話をしたが、応じられないと断られた。
※未公開株を販売できるのは、未公開株の発行会社と、登録している正規の証券会社だけと法律で決まっている
実例⑤ 展示会商法・次々商法
日用品や食品が9割引や100円ほどで買えるというチラシを切っ掛けに夫婦2人でその店に通うようになった。
そこではテレビの健康番組を短く編集したものを見せられたり、親切な店員が機械で血流チェックをして「肝臓が弱っている」、「肝臓はモノを言わない臓器と言われ、分かった時には手遅れになっていることが多い」などと毎回言われ、いつの間にか紹介される商品が、まるで病気を予防したり治してくれるものだと思うようになっていった。
その後もその店に通い続けるうちに、勧められるままに健康食品を始め、パジャマ、ネックレス、空気清浄機、化粧品など計300万円以上も買ってしまった。商品は常にセットで勧められ、まとめて買うとプレゼントがありお得な気分になるので疑いもせず1年分などを買ったりしてしまった。
その他の注意商法
こうして悪徳商法だということで見ると「なんで気が付かないんだろう・・・?」と思いますが、目の前で小奇麗なカッコをした人が笑顔でハキハキとしゃべると、人は中々疑えないものです。その上、不安や欲望を刺激して、正常な判断を出来ないようにして来るのですから。
上記の実例の他にも、霊感商法、送り付け商法(宝くじが当たったなど)、内職商法(自宅で稼げるなど)、保険トラブル(よく確認しないと起きやすい。個人的には健康な人は掛け捨てをオススメします)など実に様々なものがあります。
自分は大丈夫・・・という考えは本当に危険ですし、世の中そんなに甘くはありません。
自分にだけ美味しい話が舞い込んでくる、なんてことはまず無いのです。その証拠に金持ちたちはインサイダー取引など、”自分にだけ”有利なことをするのですから・・・
成敗は身に残る糟糠
一度騙された人は特に気を付ける必要があります。
まず、一度騙された、ということは騙されやすい素養があるということに気が付くことが重要です。
次に、一度騙された人は、場合によってはその情報が詐欺グループ内で回されてしまう場合があることです。つまり次々に新しい詐欺師がやってくる可能性があるのです。
詐欺は案件によっては立証が難しい場合も多々ある(詐欺師も解ってやっている)ので、取り戻すのは難しいことがあるのでお気を付けください
欲望に駆られないことも大切です。
欲望を否定するつもりはありませんが、お金にばかり気を取られていると、肝心の自分の人生以外のことに気を取られ幸せを失ってしまいます。
日本では最悪の場合でも破産宣告や生活保護制度があります。
自分にとって実になる人生を送り、周りの役に立つ仕事をすることの方が人生は充実します。
お金儲けが悪い訳ではありませんが、自分にとって本当に価値のあるものは何なのか、よく考えておくことは人生の重要なポイントだと思います。
渋沢栄一が、著書の中で次のような言葉を残しています。
「成敗は身に残る糟糠である」
意味は、失敗や成功は糟糠(残りカス)にようなものである。精一杯生きることこそが人生の真実で、結果はそのおまけのようなものだ、と言うのです。
成功にこだわるのが間違っているとは思いません。
しかし、人生、それだけではないことを知っておくのが、欲望に振り回され騙される、ということからも離れていくのではないかな、と思います。
皆さま、お気を付けください
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